薄毛セルフチェック|生え際と頭頂部の進行を写真で記録する方法

遥 鈴木
薄毛セルフチェック
薄毛セルフチェック

生え際や頭頂部の薄毛がAGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性型脱毛症)かどうかは、自分では断定できません。確認できるのは、ゆっくり進んでいるか、どの場所から薄くなっているか、家族に同じ薄毛の人がいるかです。同じ条件の写真を数か月ごとに撮って比べ、当てはまる項目が多ければ、皮膚科で診察を受けましょう。治療に「何年経ったら手遅れ」という期限はありません。なぜ薄くなるのかという原因は、別記事で解説しています。

この記事のポイント

  • AGAは日本の男性の約3割に生じ、約1,350万人が該当するとされています。
  • 日本人男性は、生え際より頭頂部から薄くなる人が多い傾向があります。
  • 女性のFAGAは、頭頂部が広く薄くなり、生え際は保たれやすいのが一般的です。
  • 薄毛の進行速度には個人差が大きく、決まったタイムラインはありません。
  • フィナステリドとデュタステリドの効果は、半年以上たってから判断します。
  • ミノキシジルの内服は、ガイドラインで行うべきでない治療とされています。

髪の毛が薄いのは、抜け毛が増えたから?

薄毛の原因を考える前に、「抜け毛」と「ミニチュア化(軟毛化)」を区別しましょう。1日に50〜100本抜けるのは正常な範囲で、成長期にある髪は全体の約85〜90%です。

AGAの特徴は、一度に大量に抜けることではありません。髪の成長期が通常の2〜6年から短くなり、1本1本が細く短い軟毛になることです。診断では、観察する部位の20%以上に軟毛化があるかを見ます。

そのため、抜け毛が少なくても、薄毛が進んでいることがあります。逆に、一時的に抜け毛が増えただけでは、AGAとは言えません。セルフチェックは診断ではなく、観察を始めるための方法です。【薄毛の原因を男女別に解説】

生え際と頭頂部、薄くなる場所を見分ける

最初に薄毛に気づく場所は、人によって違います。場所によって、気づきやすさも、考えるべき方向も変わります。

男性の生え際(M字)の後退

こめかみから前頭部の生え際が後退し、左右の角が深くなると、アルファベットのMに似た形になります。ただし、M字がすべてAGAではありません。男性は10代後半から20代にかけて、生え際が成熟して少し後退することがあります。何年も形が変わらない生え際と、月日とともに後退し続ける生え際は、別のものです。

男性の頭頂部(O字)とAGA頭頂部の薄毛

頭頂部は、鏡では気づきにくい場所です。他人に撮ってもらった写真や、強い照明の下で気づく人が多くいます。日本人を含むアジア人は、前頭部があまり薄くなくても、頭頂部から薄くなる人が多いとされています。髪の毛の薄い男性は、生え際だけでなく、頭頂部も必ず確認してください。

頭頂部の薄毛は、AGAと関係することが多い一方、髪質やスタイリング、頭皮の病気でも起こります。薄い範囲が、時間とともに広がっているかが手がかりです。

髪の毛が薄い女性に多い頭頂部と分け目の変化

髪が薄い女性では、頭頂部の変化が代表的です。FAGAは、頭頂部が広い範囲で薄くなり、前頭部や後頭部までは進まないのが一般的です。髪が完全になくなることは少なく、細く柔らかくなって、地肌が透けて見えます。分け目が広がるのも、よくある変化です。

女性では50〜60代に多く発症し、70歳までに約半数がかかるといわれます。ただし、頭頂部が薄くなっただけで、FAGAと決めることはできません。頭頂部にはげがあるように見える女性も、まず皮膚科で確認してください。

女性の生え際が薄いとき、見た目で分けるヒント

FAGAでは、生え際は保たれやすい傾向があります。次の表は、見え方から、考えられる方向をまとめたものです。

見え方 考えられる方向
分け目が広がり、頭頂部が全体に透ける FAGAのパターンと一致しやすい
生え際が後退している FAGAでは典型的でない。皮膚科で確認
分け目や結び目だけが薄い 髪を強く引っ張る習慣(牽引性脱毛症)
円形・斑状に抜けている 円形脱毛症など、別の病気
急に全体が抜ける 休止期脱毛など、一時的な脱毛
痒み、痛み、フケが多い 頭皮の病気

更年期以降に生え際が後退する場合は、前頭部線維化性脱毛症という別の病気もあります。病態も治療も違うため、診断が大切です。生え際が後退した女性は、原因を確認しないまま、自己流のケアを続けないでください。

M字にはげた女性は?

女性でも、M字型に見える生え際の変化は起こります。ただし、女性のFAGAでは、頭頂部の広がりが特徴で、M字は典型的ではありません。生え際の薄毛が続くなら、皮膚科で原因を調べましょう。

髪の毛が薄い20代の女性

20代の女性が薄毛に気づくと不安になりますが、それだけで異常とは限りません。一時的な休止期脱毛など、自然に改善する場合もあります。ただし、FAGAのようなパターン脱毛症は、成人のどの年齢でも始まる可能性があります。薄毛が続く、または進むときは、「まだ若いから」と放置せず、相談しましょう。

女性の頭皮の状態も確認する

女性の頭皮に、湿疹、強い痒み、痛み、多量のフケがあるときは、頭皮の病気が考えられます。パターン脱毛症とは別の対応が必要です。早めに皮膚科を受診してください。

AGAセルフチェックのリスト

次の項目に、いくつ当てはまるか数えてみましょう。

  • 昔の写真と比べて、生え際が後退して見える
  • こめかみが、以前より薄く見える
  • 生え際のM字が、時間とともに目立つ
  • 明るい場所や頭上からの光で、頭頂部が以前より見える
  • 髪の1本1本が、細く柔らかくなった
  • 抜け毛は多くないのに、全体の密度が下がった
  • 数か月離れた写真を比べると、頭皮がより見える
  • 薄い範囲が、徐々に広がっている
  • 薄毛が数か月以上、断続的または継続的に進んでいる
  • 親、兄弟姉妹、祖父母に、同じ薄毛パターンの人がいる
  • 突然ではなく、徐々に薄くなっている

複数に当てはまり、生え際や頭頂部がゆっくり変化し、家族にも同じ傾向があるなら、AGAやFAGAのパターンと一致する可能性があります。早めに医療専門家へ相談しましょう。

一方、当てはまる項目が少なくても、AGAや他の病気を否定できません。気づいた時点で、すでに進んでいる人もいます。家族歴があるから必ず発症する、という意味でもありません。

進行度の分類

医師は、次の分類で進行度を評価します。

分類 対象 段階 特徴
ハミルトン・ノーウッド分類 男性 Ⅰ〜Ⅶ型の7段階 生え際と頭頂部の進行を評価。欧米人を対象に作られた
高島分類 日本人男性 ハミルトン・ノーウッド分類を修正 頭頂部が薄くなるⅡ型(頭頂部型)を加えた分類
ルートヴィヒ分類 女性 Ⅰ〜Ⅲ型の3段階 頭頂部を中心とした薄毛の程度を評価

数字が大きいほど進行した段階です。ただし、自分で正確に判定するのは難しいため、診察で確認してください。

薄毛が進行しているか確認する4つの方法

鏡を1回見ただけでは、判断できません。時間をかけて、客観的に記録しましょう。

  1. 条件をそろえて写真を撮る。 正面の生え際、左右のこめかみ、頭頂部を、同じ照明、同じ距離と角度、同じ髪の状態で撮影します。1〜3か月に1回が目安です。6か月後や1年後の写真と比べたときに、違いが分かります。髪がフサフサだった頃の写真と、見比べるのも有効です。
  2. 生え際の位置を記録する。 眉毛からの距離など、固定した基準点を決めます。日々の小さな変化より、何年もかけた後退のほうが、判断に役立ちます。
  3. 髪の密度と太さを観察する。 同じ場所で分け目を作り、頭皮の見え方を比べます。短く細く、色の薄い毛が増えていないかも見ます。
  4. 経過を記録する。 いつ気づいたか、どう変わったかをメモしておきます。脱毛の分布と、始まった時期は、診察で重要な手がかりです。

AGAの進行速度とどこまで進行するか

AGAやFAGAの進行速度には、大きな個人差があります。決まったタイムラインはありません。影響する要因は、遺伝、年齢、DHTへの感受性、もともとの髪の密度、発症からの期間、治療の有無です。

比較的早く進んだあと、ゆっくり安定する人もいれば、何年も着実に進む人もいます。男性の進行度はハミルトン・ノーウッド分類でⅠ〜Ⅶ型に分かれますが、止まる段階も速さも人によって違います。女性の薄毛の進行速度とFAGAの進行度も、同じく個人差が大きく、年数での目安は確認できませんでした。

一般的な年数より、自分の変化の記録が大切です。

手遅れのAGAはある?

「もう手遅れではないか」という不安は、とても多く聞かれます。結論として、治療を始められなくなる期限はありません。

手遅れの薄毛と、何年も経ったAGA

AGA治療への反応は、毛包の軟毛化がどこまで進み、毛包がまだ活動しているかで変わります。男性型脱毛症では、一度生えなくなった部分の毛を生やすのは難しく、治療の目的は進行を止めることとされています。

そのため、何年も放置した薄毛は、初期より大きな改善が難しいことがあります。これは「期限を過ぎた」という意味ではなく、毛包に残る反応能力が減っている可能性があるということです。それでも、活動している毛包が残る部分を安定させられる可能性はあります。

手遅れのフィナステリド服用は意味がない?

フィナステリドの効能は、「男性における男性型脱毛症の進行遅延」です。進行したAGAでも、さらなる進行を遅らせられる可能性があります。ただし、進行した例ほど、結果は予測しにくくなります。

フィナステリドとデュタステリドに即効性はありません。半年以上の内服の前後で、同じ条件の写真を比べ、継続するか判断するのが目安です。20歳未満では安全性と有効性が確立されていません。女性には適応がなく、海外で行われた閉経後女性への12か月の比較試験でも、有効性は認められませんでした。

手遅れのミノキシジル服用は有効?

日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)では、ミノキシジルの内服は、行うべきでない治療とされています。推奨度Aなのは、男性が5%ミノキシジル外用、女性が1%ミノキシジル外用です。進行した薄毛でも外用を検討できますが、効果は毛包の活動性で変わります。内服は、自己判断で始めないでください。

植毛という選択肢

自毛植毛は、ガイドライン上、男性には「行うよう勧められる」(推奨度B)、女性には「行ってもよい」(推奨度C1)という評価です。薬を1年行って効果が乏しいときは、植毛術やかつらが提案されることもあります。

頭頂部・生え際は回復する? 治らないときの考え方

「回復」という言葉には、いくつかの意味があります。抜け毛を減らす、進行を安定させる、髪の太さや密度を増やす、新しく発毛させる、見た目を改善する、の5つです。結果は個人差が大きく、生え際と頭頂部で、反応が違う人もいます。

頭頂部のAGAが治らないと感じるときは、次を確認しましょう。

  • 診断が合っているか:AGA以外の脱毛症や、頭皮の病気ではないか
  • 治療期間は足りているか:効果の判定には、半年以上かかる
  • 毛包の状態:長く休眠している部分は、反応しにくい

女性の頭頂部の薄毛が治るかどうかは、原因で変わります。一時的な脱毛は、原因が解消されれば、数か月かけて改善することがあります。FAGAのような継続的な軟毛化は、少しずつ進行する傾向があり、ガイドライン上、エビデンスの高い治療は、ミノキシジル外用のみです。急に進む場合は、背景の病気を確認しましょう。

医師に相談するタイミング

次の症状があるときは、早めに皮膚科を受診してください。パターン脱毛症以外の病気のサインかもしれません。

  • 突然、または急速に髪が抜ける
  • はっきりした円形・斑状の脱毛部分がある
  • 頭皮に、痛み、炎症、腫れがある
  • 強い、または長く続く痒みがある
  • 頭皮にフケ、皮むけ、病変がある
  • まつ毛や眉毛も抜ける
  • 脱毛の分布が、通常と違う、または左右非対称である
  • ほかの身体症状がある

数字で見るAGAと進行

  • AGAの割合:日本人男性の約3割(約1,350万人)
  • 成長期:通常2〜6年。AGAでは数か月〜1年程度に短縮
  • 1日の抜け毛:50〜100本は正常な範囲
  • AGAの診断基準:観察部位の20%以上に軟毛化がある
  • 進行度の分類:ハミルトン・ノーウッド分類はⅠ〜Ⅶ型の7段階
  • 女性:FAGAは50〜60代に多く、70歳までに約半数
  • 治療効果の判定:フィナステリドとデュタステリドは半年以上

セルフチェックでやりがちな間違い

  • M字なら必ずAGAと決める:成熟した生え際は、何年も変わりません。後退し続けているかが基準です。
  • 鏡を1回見て判断する:条件をそろえた写真を、数か月〜1年かけて比べましょう。
  • 女性の生え際をFAGAと決める:FAGAは頭頂部が典型で、生え際は別の可能性を疑います。
  • 「もう手遅れ」と諦める:期限はありません。一度、評価を受けましょう。
  • ミノキシジルの内服を自己判断で始める:ガイドラインでは、行うべきでないとされています。

よくある質問

M字型の生え際なら、必ずAGAですか?

いいえ。10代後半から20代にかけて、生え際が成熟して少し後退し、その後は変わらない場合があります。月日とともに後退し続けている生え際のほうが、AGAの可能性が高くなります。

頭頂部の薄毛は、AGAですか?

AGAの可能性はありますが、髪質やスタイリング、頭皮の病気でも起こります。薄い範囲が時間とともに広がっているかが手がかりです。日本人は頭頂部から薄くなる人が多いため、気づいたら記録を始めましょう。

女性でも、M字や生え際が後退することはありますか?

あります。ただし、FAGAは頭頂部が広く薄くなるのが一般的で、生え際は保たれやすい傾向があります。生え際の後退は別の原因も考えられるため、皮膚科で診断を受けてください。

20代の女性の薄毛は、正常ですか?

軽度の変化なら、一時的な脱毛の場合もあります。ただし、薄毛が続いたり進んだりするなら、パターン脱毛症の可能性もあります。早めに相談しましょう。

AGAはどこまで進行しますか?

全員に共通する終着点はありません。遺伝やDHTへの感受性、発症からの期間などで変わります。写真と記録で、自分の経過を確認しましょう。

何年も進行しているAGAでも、フィナステリドは効きますか?

さらなる進行を遅らせる可能性はあります。毛包が長く休眠している部分は反応しにくく、進行した例ほど結果は予測しにくくなります。効果の判定には半年以上かかります。

進行した薄毛に、ミノキシジルは遅すぎますか?

外用のミノキシジルは、進行した薄毛でも検討できます。内服は、ガイドラインで行うべきでないとされているため、使わないでください。医師に相談しましょう。

頭頂部のAGAが治らないときは、どうすればいいですか?

まず、診断が合っているか、皮膚科で確認しましょう。治療期間が半年以上たっているかも見ます。自己判断で薬を増やさないでください。効果が乏しいときは、医師と治療の見直しや植毛を相談できます。

まとめ

生え際や頭頂部の変化に気づいたら、条件をそろえた写真と記録で、経過を確認しましょう。男性は生え際と頭頂部、女性は頭頂部の広がりが手がかりです。「手遅れ」と決める前に、一度、皮膚科で評価を受けてください。薄くなる原因やホルモンの仕組みは、【薄毛の原因を男女別に解説】で解説しています。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりにはなりません。髪や頭皮が気になる場合は、医師にご相談ください。

出典

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